米Amazonでロボットによる自動配達が開始!サービス内容や流れを紹介
目次
インターネットショッピングと言えば一番に名前が上がる「Amazon」は日本だけでなくアメリカなど世界各国でも非常に大きなシェアを占めています。
「地球上で最も豊富な品揃え」というAmazonが掲げるビジネスモデルの通り、数億点以上にものぼる商品を取り扱っているのが大きな特徴の一つですが、その他にも頼んだ商品が当日中に届く「当日お急ぎ便」や、生鮮食品が最短2時間で届く「Prime Now」など、配送サービスに力を入れていることが知られています。
「明日あれがないと困る」「今すぐに欲しいものがあるけど手が離せない」と困ってしまっている時にAmazonの配送サービスはとても便利ですが、その反面、配送業者の業務を圧迫してしまっていることが問題になりました。
そんな中、アメリカのAmazonでついに本格的にサービス開始となったのが自動配達ロボット「Amazon Scout(アマゾン スカウト)」です。
- Amazon Scoutについて
- Amazon Scoutのシステムや試験内容
- 実用化までの課題
- サービス内容や配送の流れ
地上配送ロボットAmazon Scout(アマゾン スカウト)について
Amazon Scout(アマゾン スカウト)はAmazonでの地上配送を自動で行うための自動配送ロボットで、Amazonによって自社開発されました。 青いボディが可愛らしい6輪のAmazon Scoutの走行速度は「人が歩く早さと同じ」程度。歩行者だけでなくペットや路上にある障害物を見つけると、自動的に避けて進み、目的地である利用者の自宅の前まで荷物を届けます。 Amazon Scoutには配送ルートを自動的に走行する機能が搭載されていますが、安全対策のために最初のうちは「アンバサダー」と呼ばれるスタッフが同行し配送を行います。 アメリカのAmazonはプライム会員に対し今までは2日だった無料配送期間を2日から翌日に短縮すると発表しており、より沢山の荷物を今まで以上に素早く配達する手段として期待されています。 自動配送と聞くと非常に進んだもののように感じますが、実は自動配送に関してはAmazonは他社に遅れを取っていると言われています。しかし、Amazonにはその企業規模の大きさや物流事業への多額の投資など他社とは一線を画す強みがあります。 一体どの企業が自動配送を牛耳ることになるのか、多くの注目を集めている最新技術です。デジタルコピー世界でのシミュレーション
「配送ロボットが公道を走る」ということを実現するのは非常に大変なことです。そのためにAmazonが行なった重要な取り組みが「デジタルコピーの世界でのシミュレーション」です。 Amazonはシアトル北部郊外のシルヴァーファーズという2平方キロメートルの小さな街のデジタルコピーを作り上げました。デジタルコピーの街では私道の位置や縁石はもちろん、生えている雑草の位置、鉄格子の隙間、アスファルトの表面の質感などミリ単位で精密に再現されています。 この精密なデジタルコピーの街があったからこそ、気象条件を変えるなどしながらAmazon Scoutの何万回、何百万回という導入試験を行うことが出来たのです。 デジタルコピーの街ならば何体のAmazon Scoutが走り回っても誰も迷惑がることはないので安心して365日ロボットのシミュレーションを行うことが出来ます。 このようなデジタルコピーの街を使ったシミュレーションという手法は自律走行車関連の企業が実際の道路での試験走行距離補完のためのシミュレーションに多額の投資を行うことに非常に似ていると言われています。デジタルから現実世界へ
上記ではAmazon Scoutがデジタルコピーの世界でのシミュレーションを行い、実用化のためのトレーニングを行なっているということをご紹介させていただきましたが、多くの方が疑問に思うのが「デジタルの世界でのシミュレーションがリアルで通用するの?」ということではないでしょうか。 どんなにデジタルの世界でトレーニングを行なっても、それは所詮机上の空論に過ぎない… そう思ってしまうのも無理はありませんよね。しかし、デジタルで作り上げられた世界によるトレーニングは十分、現実世界にも通用するということがAmazon社内で行われた精密試験の結果からも明らかになっています。 Scoutの制御システムには、ロボットのカメラで撮影した画像の各画素に、芝生や歩道のほか、車道といったラベルを付けるコンピューターヴィジョンソフトウェアが含まれている。このソフトウェアのあるヴァージョンは、手作業でラベル付けした40万枚に上るこの地域の写真を使ってトレーニングされた。 社内における精度試験の結果、1点満点中0.98点だったという。一方で、シミュレーションの世界からの画像だけでトレーニングされたヴァージョンは、0.94だった。 引用元:アマゾンは精密に再現した「仮想都市」をつくり、配達ロボットをデジタル世界で訓練している実用化までの課題
実用化までの課題となっている点はまだいくつもありますが、中でもAmazon Scoutのようなロボットにとって難しいと言われている課題のひとつが「道路横断の際、歩道と道路の段差を進む」ことです。 ロボットが何度も段差を行き来して自分自身でデータ収集を行うのでは時間がかかり過ぎてしまうだけでなく、街の住民に迷惑をかけてしまう可能性があります。 また、「誰かに荷物を盗まれてしまうことはないか?」というセキュリティ上の問題もあります。Amazon Scoutの配送テストでは常にAmazonのスタッフが近くについて配送の様子を確認していたため荷物が盗まれてしまう心配などはありませんでしたが、セキュリティについては今後の課題とも言えるでしょう。100%自動運転を目指している
今はまだアンバサダーと呼ばれるAmazonスタッフが同行し配送を行なっているAmazon Scoutですが、Amazon Scoutのプロジェクトを率いているチームによれば100%自動運転を目指しているとのこと。 しかし、時には人間に助けを求めてくるロボットがいるということも想定しており、Amazon Scoutの実用化における「ロボットとロボットを管理する人間の割合」はロボットが助けを求めて来る頻度、そしてロボット配送にかかる費用、ロボット配送で得ることが出来る費用によって決まると想定されています。Amazon Scoutのサービス内容・配送の流れ
ここからはAmazon Scoutのサービス内容・配送の流れについてご紹介していきたいと思います。サービス内容
Amazon Scoutのサービスは現在アメリカのカリフォルニア州アーバイン地区でのみ提供されています。まずは小規模な導入から始まったAmazon Scoutでのサービス内容は下記のようになっています。- Amazon Scoutが配送業務を行うのは平日の日中のみ
- 通常の日による配送かAmazon Scoutによる配送か選択可能
- プライム会員のお急ぎ便や無料配送の特典はAmazon Scoutによる配送でも利用可能
配送の流れ
Amazon Scoutでの配送の主な流れは以下のようになっています。- 利用者による注文
- Amazon配送センターで商品を用意
- 配送ロボットAmazon Scoutに商品を積み込む
- Amazon配送センターからAmazon Scoutが配送先へ出発
- 配送